スーツを着た悪魔【完結】

それに話ならこれから先、いくらでも出来るだろう。

兄は自分を邪険に扱ったことはないし……何よりもまゆさんもいい人そうだ。きっと仲良くできる。



「そうね。ごめんなさい」



クスクス笑いながら、バッグを持ち立ち上がると、もう一度、まゆを見つめてにっこりとほほ笑んだ。



「よかったら今度お茶でもしましょう」

「は、はい……」

「じゃあまたね」

「未散」



そのまま立ち去ろうとした未散の手首をつかみ、立ち上がった深青は優しく妹とハグを交わす。



「とりあえず、その……このことは父さんと母さんには内緒に。いずれちゃんと紹介するから」

「――仕方ないわね。必ずよ?」



未散はうなずきながら、とりあえず二人に手を振って別れる。


まさかこんなことになるとは思わなかったけれど、嬉しかった。鼻歌でも歌いたい気分だった。



< 74 / 569 >

この作品をシェア

pagetop