スーツを着た悪魔【完結】
それに話ならこれから先、いくらでも出来るだろう。
兄は自分を邪険に扱ったことはないし……何よりもまゆさんもいい人そうだ。きっと仲良くできる。
「そうね。ごめんなさい」
クスクス笑いながら、バッグを持ち立ち上がると、もう一度、まゆを見つめてにっこりとほほ笑んだ。
「よかったら今度お茶でもしましょう」
「は、はい……」
「じゃあまたね」
「未散」
そのまま立ち去ろうとした未散の手首をつかみ、立ち上がった深青は優しく妹とハグを交わす。
「とりあえず、その……このことは父さんと母さんには内緒に。いずれちゃんと紹介するから」
「――仕方ないわね。必ずよ?」
未散はうなずきながら、とりあえず二人に手を振って別れる。
まさかこんなことになるとは思わなかったけれど、嬉しかった。鼻歌でも歌いたい気分だった。