スーツを着た悪魔【完結】
せめて与えられた仕事くらいはきちんとしなければ、と思っていると
今度は平田と名乗る同世代らしい男が、まゆに話しかけてきた。
「明日から自分用のマグカップ持ってきたらいいよ。で、あそこにあるお茶とかコーヒーとか、好きに飲んでいいから」
「はい、わかりました」
「――っていうかさ、まゆちゃんって、呼んでもいい?」
「え!?」
「まゆちゃん、アルバイトっていつまで? 期間限定?」
「いや……わかりません……」
平田は遠慮なくまゆを見つめる。
と言っても、人懐っこいの範疇ではあるのだけれど――
口下手なまゆからしたら、こういう雑談は少し苦手だった。
淹れてもらったコーヒーを飲みながら、どう返事したらいいのかわからない。
っていうか、仕事に戻りたいんだけど……