夢の欠片
「そっか……良かった……」


そう呟くと、父は驚いた顔をして私を見る。


「ショックじゃないのかい?」


「ショック?全然だよ

だって私達が現れなかったら、ずっと仲良くしてたかもしれないんだし……

復縁してくれて正直ホッとしてるかも

だって別れてからずっと一人とかだったら申し訳ないもん」


笑顔でそう言うと、父は私の顔をまじまじと見ながら言った。


「驚いたな……

ひなが相手の幸せまで考えられるほど、大人になってたなんて……

普通、中学生くらいだと自分の我を通すもんなんだけどね?」


父はそう言ってから、少しだけ悲しそうな顔をして私を見つめる。


「それだけ……辛い思いをしてきたってことなのかな?」


私の中学生らしくない言動に、父が哀れみを感じてることが伝わってくる。


「確かに前はそうだったかもしれないけど、今は違うよ?

お父さんや愛未さんに会えて、幸せな気持ちをたくさんもらえたし

だからそんなに悲しまないで?」


そう笑顔で答える私を、父と愛未さんが両側から抱き締めてきた。


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