夢の欠片
「先生!私、内申30になるようにがんばります

でも……数学と理科の点数を上げるにはどうしたらいいですかね?」


この際、コツみたいなものでも教わっておこうかと、担任にそう聞いてみる。


担任はうーんと顎を擦りながら、少し考えて、閃いたように私に言った。


「夏休みに補習があるんだけど、参加してみるか?

ほんとは赤点とったやつ中心なんだけど、参加は自由だから、教科の先生にやる気を見せるいいチャンスかもしれないぞ?」


そう言って先生は、私の前に補習の申込用紙を並べる。


私は出来ることは全てやろうと決めていたので、何も言わずに申込用紙に自分の名前を記入した。


先生はそんな私の様子を嬉しそうに眺めながら、小さな声で呟くように「がんばれよ……」と言ってくれる。


私もまた先生の顔を見て、ニッコリ笑って頷いた。


先生は満足そうな顔をして、申込用紙を回収する。


何でもないようなこの光景が新たな決意を表しているなんて、私と担任以外の人間にはわからないんだろう……と思った。


先生の私を応援してくれる気持ちを一身に受けて、頑張りたいと思える。


2学期の面談では先生から嬉しい報告を受けられることを願って、私は教室をあとにした。


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