モカブラウンの鍵【完結】
「そろそろ帰りますか」

朝ご飯を食べ終え、ジャケットを羽織りながら言う。


「そうね」

「チェックアウトは俺がやるんで、佐伯さんは先に帰っていいですから」

「ちょっと待って! お金!」

佐伯さんがバックから財布を取り出した。


「別にいいですよ。ここは姉のおかげで安く泊まれますから」

後輩とは言え、割り勘や奢りは気が引ける。

「でも、私が酔っ払わなきゃ、杉山はここに泊まること何てなかったでしょ。それなら私が払うべきよ」


正論だな……。

男のプライドの前では、その正論は通用しない。


「確かにそうですね。でも、結果は俺も泊まってますから」

「でもっ」



「じゃあ!」


佐伯さんは絶対に譲らないって感じで、口を開いた。

だから言葉を被せて黙らせる。


「今度、昼飯奢って下さい」


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