モカブラウンの鍵【完結】
「宏実さん、旦那さんと仲直りできてよかったね。今朝、ハートマークだらけのメールが来たよ」

「はい。土日は姉に振り回されっぱなしでしたよ」

「土曜日は宏実さん、お借りしちゃってよかったのかしら?」

「いいんですよ。おかげで、土曜日はゆっくり過ごせましたから。姉ちゃん、迷惑かけませんでしたか?」

「ううん。楽しかったよ」

「それならよかったです」


姉ちゃんの性格だと、幸司さんのことを愚痴ったあと、俺の悪口も言いまくったんだろうな。

どうせ小姑とか、男のくせに細かいとかだろう。

サテン素材のブラウスは佐伯さんが動く度に、体に沿うように馴染む。

肩や胸のラインが体勢によって強調された。

その部分に目が行ってしまう自分を叱りつつ、視線を外した。


「ねえ、今夜、時間ある?」

「はい、大丈夫ですよ」

「じゃあ、夕飯、一緒に食べない?」

「いいですよ」


なんだろう。

普段の飲みに誘われるのとは、ちょっと違う感じがする。

もしかして……。


それから食べたお弁当の味はよくわからなかった。

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