モカブラウンの鍵【完結】
『シルバー・ラボ』はオフィスビルの10階にある。

そのオフィスビルはオフィスビル街の中でも、一番さびれたビルの中にあった。

別に経営が逼迫しているわけでもない。

むしろ安定型の企業。


現在の社長は2代目。先代、つまり現社長のお父さんが『シルバー・ラボ』を設立した。

そのときから、ずっと会社を移転していない。

これも賀川社長の考えのようだ。


『シルバー・ラボ』の応接室へ案内され、松下さんと並んで座る。

名刺入れをすぐに出せる場所へ移し、賀川社長が入ってくるのを待った。


「お待たせいたしました」

低く通る声、165センチくらいの小柄な体。

スポーツをしていたのか、肩ががっしりしている。

ホームページで見た写真よりも、近寄りがたいオーラがあった。


「はじめまして。杉山涼太です」

名刺を差し出すと、賀川社長が俺の手元をじっと見る。

そして名刺を受け取り、賀川社長が名刺を俺の前に差し出した。

名刺を受け取り、軽い挨拶のあと本題に入る。

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