モカブラウンの鍵【完結】
「起きてたんだ。先に休んでてもよかったのに」

濡れた髪をクリップで一まとめにした奈央美が部屋に入ってきた。

俺が座っている布団の上に奈央美もペタっと座る。

「なんか変な感じ。自分が小さい時から使っていた部屋に涼太がいるのって」

「だな。俺も不思議な感じがする。この部屋の中に俺の知っている奈央美と知らない奈央美がいる感じ」

奈央美は「ふーん」と言って、肩に掛けていたバスタオルを外し、軽く畳んで床に置く。


「涼太、お疲れ様でした」と布団の上に正座をして、奈央美が言う。

「何だよ、急に」

「だって、すごく緊張してたでしょ?」

「当たり前だろ」

「でも、私が言った通りでしょ。心配いらなかったよね」

「ああ。奈央美の両親って、仲がいいよな」


奈央美の背に回って、後ろから抱きしめる。

奈央美は体を少し捻ってこっちを向いた。


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