モカブラウンの鍵【完結】
「そうかな?」

「うん。俺さ、母親を早くに亡くしてるだろ。だから父さんは1人で姉ちゃんと俺を育ててくれた。きっと寂しい時もあったんだろうなって、奈央美の両親見てて思った」

「そっか。涼太、私、長生きするから。だから涼太も長生きしてね」

「うん、一緒に時間を重ねていこう。で、おじいちゃんとおばあちゃんになって、縁側でお茶を飲もう」

微笑みながら奈央美は小さく頷いた。


「そろそろ寝るか?」

「もう少しこうしていたい」と言って、奈央美の腕が背中に回る。

「晴香さんって、よっぱらうといつもあんな感じ?」

「そう。途中までは酔っ払っている感じは全然ないの。それで突然、酔っ払い出す」

「俺、晴香さんはザルだと思った」

「私も初めて一緒に飲んだときはそう思った」と、あくびを噛み潰すように言った。


「眠いんだろ。寝よう」

「うん。一緒に寝る?」


俺の理性を試す気かよ。

さすがにここで何かをする気はないけれど、耐えるのはそれなりにきついんだけどな。


「せっかく布団敷いてもらったから布団で寝るよ」

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