モカブラウンの鍵【完結】
オフィスを出て5分くらい歩くと、住宅街の中をうろうろしていた。

こんな所で昼飯、食べれるところなんてあるのか?


「杉山、ここ」

佐伯さんが指差したお店は、小さなログハウスみたいな所だった。

どうみても個人宅にしか見えない。


「こんにちは」と扉を開けながら、中に向かって佐伯さんが言った。


中に入ると、こぢんまりとしたレストランだった。

大木を輪切りにしましたと主張するテーブル。

同じ大木を使った椅子。

所々にある観葉植物。

都会にある森の家だった。


「佐伯さん、いらっしゃいませ」

シェフの服を着た男性が佐伯さんの前に立った。

「こんにちは。今日は後輩が一緒なの。メニューはお任せで。美味しいものお願いします」

「かしこまりました。お好きな席へどうぞ」とシェフは言うと、厨房の中に消えていった。


佐伯さんは一番奥の席へ向かい、2人用のテーブルに向かい合って座る。

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