モカブラウンの鍵【完結】
「部屋に入ってから大変だったんですよ。

トイレでヘタリ込む。

吐いてスッキリしたら、ベッドに運べって言うし。


ベッドに降ろした途端、寝ちゃう。

しかも、俺のYシャツ握ったままで。

手を離してくれなくて、仕方なく同じベッドで寝たんです。


言っておきますけど、何もしていませんから」



話しているうちに、だんだんイライラしてきた。


昨日、大変な思いをして介抱したのに、何でこんなに睨まれなきゃならないんだよ。


「他に何か聞きたいことでもありますか?」



佐伯さんは目をキョロキョロさせている。



「ねえ……」


ちょっと落ち着いた口調で言ってきた。


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