魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
急いで部屋に戻ると、ラスは真っ青な顔でベッドに臥せっていた。

ゼブルが醸し出す瘴気が原因なので、ベッドに腰掛けたコハクはラスの否定に手をあてて身体に密着する結界を張ってその瘴気からラスを守る。

すると徐々に顔色が良くなり、ほっとしてベッドに潜り込んだ。


「大丈夫か?」


「うん…。コーありがとう。今魔法を使ってくれたんでしょ?」


「ま、そうなんだけど。先にアーシェとグラースにも結界張ってきたし、ゼブルには瘴気を抑えるように強く言っといたから街の人間に被害が及ぶ心配もねえはず。…チビ、ごめんな、俺の知り合いのせいで…」


「ううん、もう大丈夫だよ。ねえコー…あの人、コーを迎えに来たんでしょ?本当の魔王になってほしいってこと?」


シーツで顔半分を隠して目だけで訴えかけてきたラスの額にちゅっとキスをしたコハクは、なんだそんなこと、と首を振ってラスをべたべた触りまくる。


「あいつはただ暴れてえだけだろうし。魔界なんかもう2度と行かねえよ。それよりあいつ…納得するまで滞在するとか言ってたけど…チビは平気か?」


「うん、多分平気。あの人…かっこよかったけどなんか…」


「ヘンタイ臭漂わせてただろ?あいつに関わるとろくなことねえし早々に追い出す。チビになんかあったら俺…」


不安に赤い瞳を揺らしたコハクの胸に頬を寄せて抱きしめてもらったラスは、コハクと同じように細い身体をべたべた触りまくってコーフンさせる。


「何かあったら大きな声で呼ぶからすぐに来てね。約束だよ」


「ああ、約束だ。……それより…むらむらしてきたんですけど!」


「駄目。きゃっ、太股撫でないでっ。も、コー!」


シーツに潜ってもぞもぞ動いているコハクと格闘した末なんとか退治に成功すると、コハクは渋々シーツから這い出てラスを抱きしめることで妥協した。

そしてラスがうとうとして寝てしまうと、そっとベッドから抜け出て部屋を出た。

外にはデスが立ってゼブルが近寄って来ないようにしていた。


「ゼブルはお前が苦手だったな。いいか、チビにぴったり張り付いて離れるなよ。わかったか?」


「………わかった…」


「じゃあ部屋に入って見張ってろ。俺が居ない間は絶対チビの傍に居ろ」


ゼブルがここを立ち去るまで。

ゼブルが自分を諦めるまで。
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