臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
麻由子の決心の言葉を遮ったのは、佐久間だった。


「佐久間くん…おはよう」

「ああ、佐久間か。おはよう」


航平は麻由子の反対隣りに来た佐久間に顔を見せた。


「あ!速水さん、おはようございます」


佐久間は航平の存在に気付いていなかったらしい。

麻由子はせっかくのチャンスを邪魔されて、しょんぼりと俯く。


「藤野、どうした?なんか暗いじゃん。具合でも悪いのか?」


麻由子の気持ちを知らない佐久間は体調不良かと心配そうに見る。


「ううん、元気だし、何でもないよ。別に暗くもないし」


麻由子は引きつった笑顔を見せた。


「そうか、2人は同期なんだね。佐久間は楠本と同期だったって言ってたもんな」

楠本と佐久間、そして、麻由子…と航平は3人の関係を繋げた。
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