臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
だけど、航平は折れない。誰よりも大事な人だから、悲しいことも辛いことも全部自分で受け止めたい。


「麻由子。立って」


腕を持って思いっきり引っ張った。引き上げられる形で麻由子が立ち上がる。


「え…」


立った麻由子を航平はその場で強く抱き締めた。想像もしていなかった航平の行動に麻由子は目を丸くする。麻由子だけではなくて、千尋も佐久間も楠本も同じようにビックリしていた。


「俺は札幌に行ってしまうけど、絶対に麻由子を不安にさせない」

「でも…」


離れること自体が不安になる。


「体は離れても、心は離れないと信じている。麻由子のことは本気で好きだから」


人に見られている場で愛を告げるのは恥ずかしいが、今ここで言うしかないと思った。


「分かりました。一緒に帰ります」


不安は簡単に消えないけど、今は航平と帰ろうと思う。麻由子は航平の手を握る。

二人は千尋たちに見送られ、帰って行った。
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