臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
突然の展開に千尋は焦って、楠本の腕を掴む。


「速水さんに任せたらいいんじゃない?それで、案外上手くいくかもしれないし」


千尋と早く二人になりたい楠本は簡単に言う。


「ん、そうかもね。お任せしちゃおうか?」


基本、楽天的な性格の千尋も簡単に賛成してしまう。


「じゃ、俺…二人に言ってくるから待っていて」


航平と麻由子だけになれば二人も予想外の良い展開になるもしれない。親友思いの千尋は勝手に願った。


「すいません、遅くなって」


楠本は航平と麻由子が待つテーブルに顔を出す。


「あれ?千尋はまだ戻ってないんだけど、どうしたのかな?いなかった?」


戻らない千尋を麻由子が心配する。


「あ、何か気分が悪いって言うんで、俺、送って行きます」

「え?大丈夫なの?」


麻由子は千尋の様子を見に行こうと立ち上がる。

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