臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「いや、大丈夫だよ。俺が付いているから。悪いけど、先に帰るね。速水さん、お先に失礼します。藤野を頼んでもいいですか?」

「ああ、気をつけて。お疲れさん」


楠本は頭を下げて、千尋の元に行った。


「千尋、本当に大丈夫かな?」

「クスッ、大丈夫だと思うよ。俺が思うにはあの二人、うまくいったんだよ。きっとこれから甘い夜でも過ごすんじゃないかな」


航平は楠本の恋が実ったことを確信して、楽しそうに話す。後輩の恋がうまくいったことは、喜ばしいことだった。


「え?甘い夜…」


甘い夜の意味を理解した麻由子は頬を赤くした。二人が恋人同士になったことは、麻由子にとっても嬉しいことだったが、これから同期の二人がそういうことをするのかと思うと恥ずかしい気持ちになった。
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