臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
麻由子は、今どき珍しい純情さを持っている。航平は頬を赤くする麻由子をかわいいと思い、笑う。


「じゃ、協力も終わったことだし、俺たちも帰ろうか?家まで送るよ」


航平はスーツの上着を着て、帰り支度を始める。


「あ、大丈夫です。まだ電車もありますし」


大丈夫だと断っても、夜に女の子1人は危ないから…とタクシーに麻由子は乗せられた。

もちろん、航平も一緒である。隣に航平が座るから麻由子の心臓はずっとドキドキが続いた。

タクシーの中では、他愛もない話をして…ほとんど航平が喋っていて、それに麻由子は「はい」とか「そうですね」とかの一言を返すのに精一杯だった。

つまらないと思われているかもしれない。でも、気の利いた言葉が緊張で出てこない。


「ありがとうございました」
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