臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
麻由子の住むマンションに到着した。


「おやすみ」

「はい、おやすみなさい」


爽やかな笑顔を残し、タクシーまでもが爽やかな風を残して走り去っていく。


(なんて、幸せな夜…)

麻由子は良い夢が見れる気分になっていた。


何をしたわけでもない。千尋は襲えと言っていたけど、それよりももっと大事なことでさえも出来なかった。

ただ一緒に飲んで、ただ送ってもらっただけ。

それでもいつも見ているだけで満足していた航平と話が出来た。航平の笑顔が近くで見れた。航平が自分に笑ってくれた。

それを思い出すだけで、麻由子は幸せな気分になれた。


気持ちを伝えることもしなかったことを、千尋に怒られるかもしれない。でも、自分の中では進展したことを伝えよう。
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