恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】




「とにかく、そういうわけだから。そのつもりでいて頂戴ね」

「……」


美鈴は言い、再び歩き出した。

花澄はその背を見つめながら、ポケットから携帯を取り出した。

雪也から貰ったストラップをじっと見つめる。

小さなぬいぐるみがついた、想い出のストラップ……。


「雪くん……」


あの事件があってから、雪也は毎日、花澄の登下校に付き合ってくれている。

放課後も極力、花澄と一緒に行動しようとしてくれている。

その優しさが嬉しい反面、……辛い。

好きになってもどうしようもないのに、どんどん好きになっていく……。


――――外堀は容赦なく埋められていく。

花澄は肩を落とし、深いため息をついた……。


< 270 / 476 >

この作品をシェア

pagetop