恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】

4.学園祭




10月上旬。

――――文化祭当日。


花澄は雪也とともに、チェック表を片手に校内を回っていた。

申請された出し物が適正に行われているかをチェックするためだ。


「科学部の実験展示は問題なし、と……」


雪也は廊下を歩きながら、表にチェックを入れていく。

花澄は自分の手元にあるチェック表を眺めながら、首を傾げた。


「あれ、ラグビー部って企画展示だったっけ? 確か申請はカフェだった気が」

「予算の追加申請が間に合わなかったからね。元の予算の範囲でできるものに変えたんじゃないかな。……ま、しょうがないよ。自業自得だ」


雪也はにこりと笑って言う。

……やはり、シビアだ。

まじまじと見た花澄に、雪也はひとつ息をついて言う。


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