恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



「……ま、どうしてもって来たところには、予算をつけたけど。ラグビー部はそこまでカフェに熱意があったってわけでもないみたいだしね」

「……」

「ムサい男達にお茶出されても誰も喜ばないだろうし。ま、いいんじゃないかな?」


雪也はチェック表を眺めながら言う。

花澄はふむと頷いた。

雪也は『いい人』ではあるが、硬軟を併せ持っている。

そのバランス感覚は幼い頃から培われてきたものだろう。


「……さて、次は園芸部か」


雪也は中庭の方へと歩いていく。

中庭には園芸部の出し物のプランター花壇や野菜の寄せ植えが綺麗に並び、来場者の目を楽しませている。

……と、そこで。

意外な人物の姿を見つけ、花澄は目を見開いた。


「……え? 環?」


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