恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~




と、言いかけたそのとき。

雪也の瞳がクッと歪み、花澄を見た。

……澄んだ瞳によぎる、切なさ。

雪也の腕が花澄の背を抱き、かき抱く。

骨が軋むほど抱きしめられ、花澄は息を飲んだ。


「君には脅しも効かない、か。……どうすればいい? どうすれば君は、俺を選ぶ?」

「雪、くん……」

「……っ、好きなんだ、君が!」


雪也の叫び声が花澄の心を揺さぶり、突き動かす。

雪也は愛おしげに何度も花澄の顔に口づけ、切羽詰まった声で叫ぶ。




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