ただ、逢いたい
「ごめん。
あの子のことにいっぱい、いっぱいになっちゃって、忘れていた」
なんとなく、てっちゃんに告白されたなと思っていたら、思い出したんだ。
そんなてっちゃんとも、ここ何年も逢っていない。
ごくたまに、連絡が来る。
だけど、逢うことはない。
告白も、あれ以来されていない。
だから、今どういう気持ちなのか、あたしには分からない。
「あ、朝井さん?」
彩菜と話していて考え事をしていたら、急に名前を呼ばれた。
こんなところで知り合いに逢うとは思っていなかったから、周りなんて気にしていない。