さよならの見つけ方 第1章
静かに受話器を置いた後も、しばらくその場から動けなかった。






あの時電話の向こうにいたチャドは、チャドなんだけど違う人のようで、






それが私にはとても悲しかった。






チャドじゃないかも、なんて考えてしまう自分が一番。














――――まだ、都合良く思ってる。









アメリカへと旅立ってしまうチャドは、電話の向こうにいた変声を迎えたチャドで、



実はもう一人、アルトのままのチャドがいて、






聞き慣れた大好きなアルトの声のチャドは、私の隣に残ってくれるんじゃないかって。






この街にずっと、残ってくれるんじゃないかって…













…そんなわけ、ないのにね。





素直にチャドの成長を喜んであげたいのに、







別れを望まない私の心は、どこまでチャドを暗闇へと巻き込んでいくのだろう。

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