ビー玉
――――けんちゃんだ。














「沢村」と呼ばれて返事をするけんちゃん。







けんちゃんは名字が変わって、


記憶にかすかに残っている少年らしい声も、幾分低くなっていた。













「多分、あの真ん中の人のことだよ。

めちゃめちゃ格好いいねーー

外人さんみたい。

ハーフかなんかなぁ」









笑子があたしの隣りで何か言っている。







その声が、今はものすごく遠くから聞こえる。













あたしの目にも、心にも、けんちゃんしか入ってこない。






けんちゃんの、まぁるいビー玉の瞳。










時間を軽々と飛び越えてあたしの中に溢れてくる記憶。





















けんちゃん、








あたしを覚えてる?













――――二人で過ごしたあの夏の日々を覚えてる?


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