ビー玉
発表を見に行こう、と誘う笑子に

どうせ落ちてるよ、と小さく笑って断るあたし。










それもそっか、所詮うちらだし


とすぐに納得して話題を変えてくれた笑子に心の中で感謝しながら。
















もうこれ以上、考えるのはやめよう。











バスケ部の“沢村さん”は間違いなくけんちゃんだけど、






あたしの知ってるけんちゃんじゃない。







沢村さんを見掛ける度にあの人の中のけんちゃんを、あたしは探してしまうだろう。








あの人の中に、けんちゃんは多分もう



いないのに。








あの人を深追いして、けんちゃんの不在を思い知らされるのが怖い。











あたしはため息をついて教室の低い天井を仰いだ。





けんちゃんの思い出は、綺麗なまましまっておこう。









誰にも気付かれないように。







誰にも触れられないように。












あの縁側で覗き込んだ、



オレンジに光るビー玉の中にそっと閉じ込めて。




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