ビー玉
「カップ1つちょうだい」






そう言って屋台のおじさんに小銭を渡したあと、












「真っ赤なやつ、



とってやるからな」











と、先輩は横顔のままぺろっと舌を出した。












その光景のあまりの美しさに、あたしはくらりと目眩を覚えて――――










くるくると回る記憶の中に






あたしは静かに迷い込んでいく。











目の前にいるのは沢村先輩?









それとも…









あの夏の日のけんちゃん…?













幾つもの光が行き交う中、






あたしたちはしゃがんで赤い金魚を見ていた。




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