冗談ですよね?【TABOO】
「いらっしゃい」
 出迎えてくれたのは東堂先輩。

「お邪魔します」
 とにかく酔い潰れた祐樹をなんとかしなきゃと、靴を脱いで数歩歩いた瞬間。
 ぎゅっと、後ろから抱き寄せられた。
「騒ぐと、誰かがドア開けるんやない?」
 らしくない、静かな声が背中で響いた。

「――ちょっと、先輩」
 冗談だと思っている私を遮るように、
「なんで、俺より祐樹を選んだん?」
 と、不意に、ひどく切ない声が背中で響いた。
 まるで、別人みたいな雰囲気にどきりとする。
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