月のあかり
 
 満央は胸元が大きく開いたまま、ベッドの上に四つん這いでぼくに近付き、添い寝するように隣に横になった。
 ぼくらは吐息が掛かるほど顔を寄せ合った。
 それは、あの高台の展望台で交わした情熱的なキスが、いつ再開されるか分からないほどの、緊張感と高揚感を保った至近距離だった。
 
「ねえ、満央」
 
「ん?」
 
「もう一つ訊いてもいい?」
 
 ぼくのほうから場の空気を焦らすつもりは無かったけれど、どうしてももう一つ聞いておきたい事があった。
 
「なぁに?」
 
「満央には姉妹とかいるの?」
 
「どうして?」と言って、彼女はキョトンとした表情をした。
 
「実はぼくも昨夜《ためいき色》の夢を見たんだ」
 
「それでどんな夢だったの?」
 
「夢の中で満央そっくりな女の子が出て来たんだけど、『あかりだよね?』って訊いたら、首を横に振ったんだよ」
 
「それで『満央』って名乗ったの?」
 
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