広い背中
私と出会ってから、誠は誰とも付き合ってない。

なぜか一緒に参加した合コンでも、誰も狙おうとしなかった。

口元の黒子がセクシーなアジアンビューティーな女の子に言い寄られても、番号すら教えなかった。店を出ればあっさりさよならだったらしいし。(私は途中で男の子と抜け出してたから、それは後で聞いた話だけど)

学校でも、仲のいい友達はいるけど、どんなに仲良くなった子の告白にも応じなかった。

そうして、彼女を作らず、作ろうともせず、誠はずっと私のそばにいた。

恋人との話であろうと、なんでも聞いてくれたし、恋人と喧嘩して置き去りにされたから迎えに来て、とか、私のわがままにいつも付き合ってくれた。

そんなことを数年繰り返せば・・・うぬぼれたくなるのも仕方ないでしょ?

だから私は、誠の気持ちを試すことにした。

そっと誠の頬に触れて、じっと見つめる。

”友達”の距離を少しだけ越えたスキンシップ。

私が誠に触れたとき、今まで絶対に崩れなかった誠の表情が大きく崩れた
瞬間、私は確信したんだ。

「あぁ、やっぱりそうなんだ」って。

その時の誠も、やっぱりこうやって眉を寄せて、下唇を食いしばって私を睨んでた。

でもね、そんな顔したってダメだよ。

嫌ならこの手を振りほどけるのに、それをしなかったんだから。

誠が、私をこんなうぬぼれ女にしたんだよ。
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