広い背中
私が一人でもんもんとしていると、ようやく誠が動いた。

ベッドに腰掛けるようにして、頭をかかえてため息を吐く。

はぁー・・・

その深ぁいため息に、私はキレた。

「なんなのよ! そのため息は!! 文句があるなら言葉に出していいなさいよ、この草食男ーーー!!」

そんなやつあたりもいいところな私の言い草にも、誠は慣れたもんだとでもいうように「ハイハイ」と軽くいなした。

その態度が私の怒りの火に油を注ぐ。

再び文句を言うために思いっきり息を吸い込んだところで、ポンポンと頭をなでられた。

「ちょっと落ち着け」

な?

なでなで、と若干強めに頭をなでまわされる。

あーあ、こうやって、結局うまくなだめられちゃうんだもんなぁ。

私の扱いに関しては、誠の右に出るものはいないと思う。

誠にこうやって子供をあやすように甘やかされることに、私はめっぽう弱いのだと、誠は知っているから。

しばらくされるがままになった。

なでる力は強し乱暴だし、髪が絡まってしまうんじゃないかと文句も付けたくなったけど、ぐっと我慢した。
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