TABOO 短編集

中学3年間ずっと同じクラスだった私たちは人知れず、でも確実に惹かれ合い、それなのにお互い口にすることができないまま、卒業と同時に離ればなれになった。
 
あれから十年が経とうとしている。
短いようで長いときの流れは、もともと傾いでいた校舎を蝕むのに十分な歳月だ。
私にも、愛する人ができた。その恋人とやがて結婚もするだろう。

でも、今だけは。

「私も、ずっと好きだったよ。言えなくてごめんね」

あの頃はどうしても言葉にできなかった。

もし、私が先に伝えていれば。
もっと早くここに来ていれば。

今ある現実とは違った世界が見えたのだろうか。


「ずっと私を、待っていたの?」

声が、かすれた。
涙が滲んだけれど、泣くわけにはいかなかった。
 

彼はただ黙って首を振り、優しく私を包みこむ。
まるで風に抱かれたように、寂しさが込みあげた。

ありがとう、と聞こえて顔を上げると、

彼は穏やかに微笑んで、まるで舞い散る初雪のように、淡く、儚く、空に溶けた。

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