アウトサイダー

そんな状態が1年ほど過ぎたころ……リビングで起こっていた大きな物音がパタリとやんだ後、バタンと玄関のドアが閉まる音がした。


母が耐え切れずに逃げ出したのかもしれない。
それとも父が?


トントントンと階段を上がってくる音に震える。

もしも、父だったら?


「紗知?」


心臓がギュっと鷲掴みにされたように痛い。

それは、父の声だったから。


ついに私も、殴られるんだ……。
今まで一度だってそんなことがなかったのは、母が体を張って守っていてくれたのかもしれない。


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