アウトサイダー
そんな風に考えたことがなかった。
ずっと後ろ指をさされて、息を潜めるように生きてきて、そして太陽とも引き裂かれて――。
ずっと私は後ろ向きだった気がする。
「紗知、彼氏いるんだろ? それだって幸せだ」
そうかもしれない。
母だって私以上に苦労して、それでもコウさんと出会って、幸せを手に入れた。
私も彬さんと出会えて、そしてこんなに大切にしてもらって……。
もうこれ以上の幸せを望むことなんて、きっと贅沢で。
「そう、ですね」
永沢さんの言葉で、なんだか重くのしかかっていた荷物が降ろされた気がしていた。
私は、幸せなんだ。
そして、もっと幸せに……なるんだ。