アウトサイダー
私たちの生活費は、コウさんがなんとかしてくれた。
こんな二重生活できっと費用もかさむのに……。
そんな私のところに、永沢さんが図面を持って現れた。
「千島くんがウロウロしていたからなかなか来れなくてね。
でも、あきらめたかもしれないよ」
その言葉に母も笑顔を見せる。
「それで……これなんだけど」
彼は小さな折り畳み式のテーブルに、はみ出すほどの図面を広げた。
「これ、なに?」
母が興味深々で図面を覗き込む。
「紗知さんと篠川くんが手掛けている家です」
「これを、紗知が?」
母は私の描いたイメージパースを何度か見たことかあるけれど、それは学校の課題で、実際に建築されるものとしての仕事を目にしたのは初めてだ。