アウトサイダー

「紗知ちゃん、なにか辛いことがあるんじゃないかって。

あっ、ごめんね。
俺、勝手なこと言って気に障ったらごめん。

ほらさ、俺、オヤジが死んじまってからそれなりに大変なことも経験してさ、紗知ちゃんみたいな時期もあったんだ。
紗知ちゃんも、お父さんいないんだろ?」

「――うん」


健君のお父さんは、病気で亡くなっていると聞いていた。
彼のお父さんとは違う。
死んでしまったのとは違う。

同じいないというのでも、きっと意味が違う。



「すごく寂しい一方で、いなくなったオヤジを恨んだりもした。
どうして皆遊んでるのに俺一人必死になって働いて……なんて」


いつもは明るい彼が、ため息をついて空を見上げる。


< 85 / 576 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop