* pain *
はっとして振り返り、

そびえ立つ白い煙突の先を見上げて目を凝らすと、

白い煙が雨に濡れながら、空に昇っていくのが見えた。








“雨の日の空は好きだな”








いつかそんなことを、京ちゃんが言ってたっけ。






霧雨に紛れながらゆっくりと立ち上ぼる煙を見ていたら、

雨が目にしみて涙が滲んできたけれど、


それでもなぜだかあたしは、目を逸らすことができなかった。






逸らしてはいけない、と思った。






するすると、灰色の空へ吸い込まれていく

細い煙から。
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