* pain *
あたしは傘もささずに黙ってその光景を見ていたけれど、




同じように身も切れそうな横顔でそれを見守っていた京ちゃんの両親や友達や大地くんのように、




涙は出てはこなかった。





ただひゅーひゅーと、



相変わらず上手く吸えない息だけを、



陸に上げられた魚のように必死で繰り返していた。









あたしの心はからからに、乾いてしまったのだろうか。







あの横たわる、白い骨のように、






からからに。








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