光の花は風に吹かれて
「ところで、散るまでというのは……“死が2人を分かつまで”とも聴こえますけれど?」
「そ、それは、そういうことじゃ――」

一瞬で真っ赤に頬を染めたローズを見て、セストはクスッと笑った。

「そういうことではないのですか?では、ローズ様はいつ私のそばから離れる予定なのでしょうか?」

グッと顔を近づけてみると、ローズはセストの肩を掴んでまた背を反らせた。

「あ、あのっ、お話が変な方向に……」

突然、饒舌になったセストに困惑しているらしいローズは近過ぎるセストとの距離に視線を泳がせた。

先ほどは自分からキスまでしてきたくせに、恥らうローズは……可愛らしい。

気持ちの切り替えはこんなにも簡単にできるものなのだと、セスト自身驚いているし、ローズからの告白で元気になった自分も現金だと思うけれど……

「おわかりになりませんか?“散るまで”見届けると、言っているのですが」
「そ、それって……」

セストがローズの頬を両手で包むと、ローズの瞳が揺れた。

「貴女も、私の花を散るまで照らしてくださるのでしょう?」
「……っ、はい」

セストの手に自分の手を重ねて目をゆっくりと閉じるローズ。彼女の唇との距離が近づいて、バラの香りがセストを包んで――
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