光の花は風に吹かれて
「セスト」

2人の呼吸が重なる直前で、ガチャリと扉が開く。その瞬間、ローズがビクッとしていそいそとベッドを降りて立った。

「あぁ……俺の気持ちがわかるようになりそうだな?セスト」

クッと笑って、レオは書類の束をテーブルに置いた。3日前、レオがセストの執務室から持っていった2倍はある。セストは額に手を当ててふぅっと息を吐き出した。

「しばらく外交関係の仕事もないし、俺は3日休みを取る」
「……承知しました。どこかにお出かけですか?」

今回は何も言い返せない。ディノとイヴァンにも迷惑をかけたことを謝らなければならないだろう。

「母上のところに行く。イヴァンにはその間リアが母上を診ると伝えておけ」
「はい」

セストが頷くと、レオは満足そうに笑ってローズに視線をやった。

「リアが心配していた。後で話してやれ」

ローズはコクコクと頷いて、頭を下げた。喋るほどの余裕はないらしい。レオはそんなローズを見てフッと笑い、「花が咲いてよかったな」と言い残して部屋を出て行った。

おずおずとローズが顔を上げ、セストに視線を投げかける。その仕草に、セストはフッと頬が緩むのを感じた。
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