光の花は風に吹かれて
「セスト様、お花を育てていらっしゃるのですか?」
ローズが抱きついたまま、セストを見上げてくる。
「いえ……まぁ、花、といいますか……あの、離れていただけますか?」
「なぜですか?」
キョトンとしたローズの表情を見て、セストはふぅっとため息をついた。
確かに、この責任は他でもない自分にある。
数ヶ月前、リアが記憶をなくしていたときのことだ。ユベール王子が扮したノエ将軍からの花束のせいでリアが赤い瞳を使いかけたときに、ルミエールに潜入して呪文について調査したことがある。
そのとき、王家の血を引いたものしか入れない書庫への扉を開けるため少しばかりローズを利用した。
後宮の奥で育ち、ほとんど外に出たことのなかった彼女。1度どこかの貴族に嫁いだらしいが、連れ戻されている。そんな彼女の心の隙間につけこむのは容易かった。
任務を終えて、セストは鍛錬中だった記憶修正を試した。といっても、ローズに施したのはその逆、記憶操作の方だ。セストと会った記憶に違う記憶を貼り付けてきた。
だが、それはどうも成功していなかったらしい。記憶は中途半端に封印されてしまい、彼女はセストのことを何度も夢に見る。
「セスト様?」
セストはそっとローズの手を解く。
「仕事が残っておりますので、失礼いたします。すぐに侍女を手配致しますので、何かありましたらお申し付けください」
「あ、待っ――」
ローズの声を遮るように、セストは部屋の扉を閉めた。
ローズが抱きついたまま、セストを見上げてくる。
「いえ……まぁ、花、といいますか……あの、離れていただけますか?」
「なぜですか?」
キョトンとしたローズの表情を見て、セストはふぅっとため息をついた。
確かに、この責任は他でもない自分にある。
数ヶ月前、リアが記憶をなくしていたときのことだ。ユベール王子が扮したノエ将軍からの花束のせいでリアが赤い瞳を使いかけたときに、ルミエールに潜入して呪文について調査したことがある。
そのとき、王家の血を引いたものしか入れない書庫への扉を開けるため少しばかりローズを利用した。
後宮の奥で育ち、ほとんど外に出たことのなかった彼女。1度どこかの貴族に嫁いだらしいが、連れ戻されている。そんな彼女の心の隙間につけこむのは容易かった。
任務を終えて、セストは鍛錬中だった記憶修正を試した。といっても、ローズに施したのはその逆、記憶操作の方だ。セストと会った記憶に違う記憶を貼り付けてきた。
だが、それはどうも成功していなかったらしい。記憶は中途半端に封印されてしまい、彼女はセストのことを何度も夢に見る。
「セスト様?」
セストはそっとローズの手を解く。
「仕事が残っておりますので、失礼いたします。すぐに侍女を手配致しますので、何かありましたらお申し付けください」
「あ、待っ――」
ローズの声を遮るように、セストは部屋の扉を閉めた。