光の花は風に吹かれて
「セスト」

レオが静かにセストを見上げた。その漆黒の瞳が何を言っているのかわかってしまう自分が憎い。

「やはりご迷惑でしたら、このまま連れて帰りますが……」
「嫌です!」

クロヴィスがそう言うと、ローズが叫ぶ。

「私はセスト様をお慕いしているのです。何度も夢の中でお会いして……あ、あの、えっと……」

そこでポッと顔を赤らめたローズは何かもごもごと言いながら両手で頬を挟んだ。鋭くなったレオの瞳に、セストは眩暈がする。

「やっと見つけたのです。帰りません!」

ローズはそう言って、立ち上がるとセストに抱きついてきた。

「だ、そうだ。ローズのことはセストが責任を持つ」
「よろしいのですか?」

クロヴィスの確認に、レオは口角を上げた。

「よろしいも何も、セストには花を育てる義務がある」
「なるほど……では、そのように」

すべてを悟ったらしいクロヴィスはやはりレオと同じようにかすかに笑って……優雅に立ち上がった。

「国内が落ち着きましたら、新しい君主と共にご挨拶に伺います。リア様へのお礼もそのときにさせていただきたい」
「いえ、私のことは気にしないでください」

レオとリアも同じように立ち上がり、クロヴィスと共に部屋を出て行ってしまった。
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