光の花は風に吹かれて
――ローズは中庭にいた。

侍女たちが泣きながら走っていた彼女を目撃していたから、見つけるのは簡単だった。

「お風邪を召されますよ」

中庭の噴水のそばにしゃがみこんでいるローズに上着を掛けてやる。ローズは鼻を啜って、顔を上げた。

「セスト様……ごめんなさい」
「貴女が謝る必要はないのでは?」

セストはローズの隣に座った。風が冷たく吹きつける。

「でも、ご迷惑なのでしょう?」

そう言って、ローズは少し笑った。

「夢と現実の区別がつかない娘ですもの。当然ですよね」

その寂しそうな笑い声に、セストの心がチクリと痛む。夢と現実の区別がつかないのは、セストのせいなのだ。

「いえ、そういう意味で言ったわけでは――」
「いいのです。ごめんなさい。夢の中で貴方はとても優しくて……その、本当に貴方がこの世界にいると知って、お会いできて、舞い上がってしまったのです」

ローズは目元を拭った。
< 25 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop