光の花は風に吹かれて
「……ごめん」

嵐が過ぎ去った研究室の片づけをしながら、セストは手伝いをしてくれているイヴァンとディノに謝った。

「早めに戻って来られて良かったよ」
『いー!』

イヴァンがソファに置いた揺りかごを覗きながら、呪文で小さな風を起こすとルカの風がくるくるとイヴァンの風に戯れるように吹く。

セストの意識がようやく現実に戻ってきたのは、ルカが泣き叫びだしてから。もちろん、それは手遅れという意味で、研究室はひどく散らかってしまい、今に至る。

幸い、昨日の健康診断の続き――城で働く者がとても多いので2日間に分けて行う――の予定が早く終わったディノとイヴァンが駆けつけてくれて、ルカを宥めてくれた。

そうして掃除を始めたわけだが、資料や本が散らばったくらいで済んだのが幸いだった。1度機嫌を損ねるとルカがいる部屋は半壊になることが多い。

ルカが生まれてからの城の修理にかけている費用にはレオも頭を抱えていた。たった2週間ちょっとだというのにこれでは先が思いやられる。

「でもさぁ、僕は生後間もない赤ちゃんはもっと、なんていうか……泣くばっかりだと思っていたんだけど」

ディノが苦笑いしながら本棚に最後の医療用語辞典を戻した。
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