光の花は風に吹かれて
静かな部屋、苦しそうなローズの呼吸音。

「熱があると言っていましたよね?他には?」
「意識が朦朧としていらっしゃるみたいで……問いかけても反応がないのです。熱はそんなに高くないはずなのですが、なんだか様子がおかしくて……」

ローズの横たわるベッドに近づき、セストは彼女の額に手を当てた。

侍女の言う通り、熱はそこまで高くない。だが、大量に汗をかいていて苦しそうに顔を歪めているローズは“風邪”で済ませられるようには見えなかった。

(この気は……?)

額に当てた手から伝わってくるローズのチャクラの気配は光属性とは全く異なる。

チャクラの根源はセントロと呼ばれる器官で、心臓のような役割を果たすそこからトゥーボという血管と同じような器官を通って人体を循環している。

光属性のセントロは額に位置していて、そこからチャクラの気配が1番強く感じられるのだ。

セストは目を閉じて感じ取れるチャクラに意識を集中した。

ゾクリと背を這うような、言葉で表すならば……暗く冷たい、煙がじわりと広がっていくような流れ。

セストの知らないチャクラ――自分は王家専属クラドールとして十分に知識もあるつもりだったのに。

「リア様を呼んでください」

朝はルカが1番元気な時間で大変だろうけれど、こちらも緊急事態だ。侍女はすぐに返事をして部屋を出て行った。
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