光の花は風に吹かれて
――城に戻ってきたセストは何度目かわからないため息をついた。

先ほどから笑顔を崩さず、食事もそこそこにずっと向かいに座ったセストの顔を眺めているローズ。

レオの言う通りローズはヴィエント城へと招いた。冷えていた身体を温めるために湯浴みをさせ、新しいドレスに着替えてもらった。彼女のための客室も用意したし、こうして食事も振舞っている。

「ローズ様、お食事がお済みなら、なぜ貴女がヴィエントにいらっしゃるのか説明をしていただけないでしょうか?」
「貴方を探しにきたのです」

セストはもう1度ため息を漏らす。

「そうではなく、貴女はルミエール王国の王女でしょう?護衛もつけず、許可もなく、ヴィエント王国にいることは問題なのです。わかっていただけますか?」

彼女の名前はローズ・ブイレント――ルミエール王国第3王女だ。本来、ルミエールの王女たちは城の後宮から出ることなく生活している。それなりに厳しい警備も敷かれているはずなのに。

「でも、誰も私を止めませんでした」

ニッコリと笑ったローズは「大丈夫です」と付け足した。

「貴女が大丈夫でも、ルミエール王国やヴィエント王国は大丈夫ではないのです」

ルミエールの王女が後宮を抜け出しただけでも大問題なのに、さらにヴィエント城に身を寄せているとなれば、王国間の問題に発展しかねない。最悪、ヴィエント側に攫われたという間違った解釈もあり得る。

「私以外にも王女はたくさんいます。1人くらいいなくても大丈夫です」

大丈夫ではないのだ。叫びたい衝動を抑えるのが精一杯で、セストが白旗を揚げそうになったとき。
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