金色のネコは海を泳ぐ
ジュストもルーチェも何も言わなくて、ただお互いを見つめたまま時が止まったような感覚。

「教えてくれないなら、僕、わからないからね」

どれくらい経ってからだろうか。静かにジュストが言葉を紡ぎ、ルーチェの頬から手を首筋に滑らせた。

ルーチェの身体がビクッと跳ねる。

「っ、ジュス、ト……?」

ジュストの手はルーチェのうなじと背中へ、そして次の瞬間、ルーチェの顔がジュストの胸にぶつかった。

「僕はルーチェと寝るよ。絶対、ルーチェと抱っこして寝るんだから」

回された手に込められた力から、“離さない”という意思が伝わってくる。

ジュストに逆らう言葉も、行動も、なぜか出てこなくて。

「僕、人間だよ。ルーチェのこと、好きなんだよ?抱っこしてもいいでしょ?婿になってもいいでしょ?僕、勉強するから……ちゃんと、人間に戻るから……ルーチェと一緒にいていいでしょ?」

わかっている。

ルーチェを惑わせるような速いビートも、ルーチェを包む温かい熱も、全部本物で……ジュストが人間のオトコなんだということ。

わかっているから、どうしたらいいのかわからないのに。
< 146 / 268 >

この作品をシェア

pagetop