金色のネコは海を泳ぐ
窓から差し込む微かな光に、ルーチェはゆっくりと目を開けた。

手に当たるふわりと柔らかな感触へと視線を落とすと、昨夜ルーチェを“抱っこ”していたジュストはネコの姿に戻っていて、ルーチェの胸にしっかりと抱きついている。

ルーチェは起き上がって、そっとジュストの身体をはがして布団を掛けてあげた。

――「僕、ルーチェが女の子だって、ちゃんとわかるよ?」

その言葉はどういう意味だったのだろう。

ただ単純に、ジュストとルーチェの性別の違いがわかるということ?

それとも本当に、ルーチェを“オンナ”として――

ルーチェはそこで首を振った。

やめよう。

考えたらいけない気がする。

ふと、いつのまにか手の甲に書かれたいびつな彼の名前を見つけてチクリと胸が痛んだ。

恋をしたことはないかもしれないけれど、ルーチェにだってわかる。ジュストの“好き”は恋じゃない。

例えば、母親や姉に対しての感情。

ルーチェが小さい頃、父親の知り合いでよく遊んだことのあるディーノに対して抱いていたような――構ってくれるお兄ちゃんが“好き”だったような――そんな感情。

わかっている。

ただ、綺麗な琥珀色の瞳に見つめられて……見た目と中身の年齢差を一瞬忘れてしまいそうになっただけだ――
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