金色のネコは海を泳ぐ
「ダメだってば!」
「どうして!僕はちゃんとお行儀良くできるよ!」

大きな門の前で、2人が言い争う。

なんだか前にもこんなことがあった。あのときは、1人と1匹だったけれど。

「もう、なんでついてきちゃうのよ!」
「ルーチェが僕を置いてくからだよ!」

冷たい風がルーチェとジュストの鼻を真っ赤にし、白い息をお互いに掛け合うようにどちらも譲らない。

ネコのときのジュストも同じことを言っていたのかは謎だが、ルーチェは前回と同じ台詞で応戦中だ。

違うのは、2人が図書館ではなくクラドール養成学校の正門の前でにらみ合っていること。

今日は、ルーチェが養成学校でお世話になった先生が結婚したということで、学校の広間でパーティがあるのだ。

ルーチェはもちろん、ルーチェの同級生や卒業生、現在先生にお世話になっている生徒たちもお呼ばれしている。

寒い中、人目も憚らずに喧嘩する2人を皆、好奇の目で見つめながら門をくぐっていく。
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