金色のネコは海を泳ぐ
ジュストが目を開けると、腕の中にルーチェがいて少し驚いた。

「……あれ?」

思わず自分の手のひらをまじまじと見てしまった。

人間だ。

ジュストは人間のまま一晩を過ごしたらしい。

昨日、デボラ先生のパーティからの帰りにルーチェはたくさん泣いて……心配になったジュストはルーチェを抱き締めて眠った。ルーチェは最初嫌がったけれど、ジュストが離さずにいると大人しく一緒にベッドに入ってくれた。

そういえば、昨夜も寝るまで人間のままだった。

確かにここ1ヶ月ほどは、調子が良ければ朝起きて1つ瓶を開けるだけで夜まで過ごせていた。

だが、眠る時間にはネコになっていて……ルーチェと一緒に眠ることが出来ていたのもそのおかげだったのに、今日は朝になってもまだネコに戻っていない。

ジュストはそっとルーチェの髪を梳いた。

すやすやと眠るルーチェはとても可愛い。

ルーチェの髪をよけて“印”を確認すると、ルーチェの白い肌には赤く花が咲くように痕がついている。

ジュストはそこにそっと唇を寄せて今日の印を刻んだ。

ふわりと香る優しいルーチェの匂い。

トクン、と自分の心臓の音が聴こえた気がした。

柔らかくて滑らかな肌はとても気持ちいい。
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